サンフランシスコ便り 2005
第5章 妊娠と妊娠中毒症とアメリカ妊婦の栄養摂取量
妊娠4ヶ月を迎えた頃、だんだんお腹の膨らみが目に見えてわかるようになってきた。2ヶ月から3ヶ月にかけて酷かった悪阻もすっかり落着くにつれ、だんだん食欲がわいてきた。ちょうど4ヶ月の頃、新婚旅行に出かけたのだが、旅先なので当然3度の食事は外食で、すっかり栄養過多となり、その間たった2週間で4kgも体重が増えた。かかりつけの病院専属のカウンセラーに相談すると「その前の月までそんなに増えていないのだから、4kgくらいは問題ないので、食べたいだけ食べなさい」とのことだった。
日本だと1週間で1kg以上増えたら妊娠中毒症とみなされ食べ過ぎを注意されると聞いたことがあったので、ずいぶん日本とアメリカでは言われていることが違うと気がついた。確かに日本でも、昔の妊婦は2人分食べなくてならないとかいって、無理にでもたくさん食べることを薦められていたというが、現代では、妊娠中、胎児が母体から吸収するカロリーは1日約300kcalといわれており、日本では必要以上に食べて太ると脂肪のために産道が圧迫されお産のときの障害要因になるので、できるだけ太らないように指導されている。これに対して、アメリカの場合は、妊娠期はとにかくできるだけたくさん食べることが胎児の発育を促すといまだ考えられているようだ。そんなわけで、アメリカの妊婦さんは皆かなり太っている。妊娠期に20kgくらい増えることは普通のようだ。
私は、必要以上に食べることが胎児にとっても妊婦にとってもいいこととは思えなかったので、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけ、食べすぎには注意を払うことにした。それでも6ヶ月から9ヶ月目にかけて足首などがうっ血して象の足のように腫れ上がり、さして食べてもいないのに、お腹は風船のように大きくなっていった。日々ものすごい勢いで変わっていく自分の体を目の前にしながら、改めて自然の創造物としての人体の神秘に驚異を感じるばかりだった。
足の浮腫みはかなりひどく、指で押すとその指後がくっきり残るくらいだったので、これに妊娠中毒症ではないだろうかと心配して病院で相談したが、「妊娠期の典型的症状だから気にすることはない」とあっさり追い返された。日本でなら妊娠中毒症の恐れありとかで、入院を勧められそうなものだと思いながら、重たい足を引きずって病院を出た。
9ヶ月をすぎた頃、あんなに腫れていた足首がウソのようにすっきりと元に戻った。病院では何の策も講じてくれないので自宅でヨガをしたり、できるだけ散歩に出かけたりしていたので、その効果がでたのだろうか?と思っていたら、それから1週間ほどたった4月9日午後11時、激痛とともにいきなり破水がやってきた。