私が二十歳になったころ、アルバイトのお金を全てはたいて買った中古のおんぼろ軽自動車に、スケッチ道具一式と寝袋や毛布、食料や水など、泊まるところが見つからなかったら車の中で眠れるようにと準備を整え、能登半島を一周しながら金沢や輪島、和倉、福井は永平寺などを巡る行き当たりばったりの旅に出かけた。能登半島は、当時住んでいた京都からは程よい距離のちょっとした小旅行にもってこいの場所だったのだ。それが、私が生まれて初めて出かけた一人旅だった。宿の予約は直前になるまで入れなかったが、季節はずれだったせいかいつも空いていて、野宿ならず車中泊せずに済んだ。主にユースホステルに泊まったので、同じように泊まっている一人旅の人々といろんな情報交換をすることができた。また、いつもの方向音痴のため、ちょっと入り組んだ場所に入るとすぐに道に迷ったが、土地の人に助けられ、道を教えてもらうだけではなく、地元の名物だとか、安くておいしい食堂だとか教えてもらったりして、旅を十分楽しむことができた。こうして私は、友人たちとの旅とはまた違った一人旅の良さを初めて知ったのだった。

戻る目次 |ホーム

Back | contents | Home